米国で最大かつ最も成功している製造企業の一つであるGE社が、世界最大のスタートアップ企業のように経営されている秘訣は何でしょう? GE(General Electric)社にとって、課題解決のために常に進化していくことが宿命です。
今日、GE社は伝統的で完成されたグローバル製造企業から、アジャイルで市場をリードするデジタル産業企業に転換しつつあります。製造業のビジネスを補完する目的でソフトウェアによるサービスを開始した時、同社は新しいビジネスモデルを取り入れ、顧客、サプライヤー、およびパートナーとの関係を再定義しました。
その過程で、GE社はより速くかつスマートな事業推進の手段として、オープンイノベーションとクラウドソーシングに多額な投資をしてきました。それが奏功し、伝統的ビジネスと新ビジネスの境界を貫く新しいシステムが創られ、関連性と一貫性のあるグローバル規模のナレッジ交換が可能となりました。GE社の各事業体は、これまで以上に、それぞれが持つ専門知識やテクノロジー、市場、仕組みを共有し、よりコラボラティブで意義のある研究、イノベーションおよび学びが可能になりました。
GE社のように巨大で複雑かつ成熟した企業において、この取り組みは容易ではありませんでした。Dyan Finkhousen氏は、オープンイノベーションとクラウドソーシング実現のために、GE社内のエクセレンス・センターからこの取り組みをリードしています。GLGのLeading Learnersのビデオシリーズの中で、新しい学びの方法が、GE社のイノベーション創出にもたらす影響について議論しています。以下、Finkhousen氏の経験をご紹介します。
集中化は効率をもたらします
GE社では、素早く効果的な結果を生み出す可能性のある全社的なオープンイノベーションプロセスを指向しました。集中化された組織では、効率良く整然としたイノベーションの移転システムが出来上がります。このシステムでは、社内の特定チームが直面する課題に対して、異なる専門知識を持つ人材、すなわち他のビジネスユニットの人材の手を借りることが可能となります。現在、GE社では全社的にこの方法を採用しています。Finkhousen氏のチームは、この効用とベストプラクティスを全社に共有し、仲間同士が互いに学び合うことを促進しています。
Finkhousen氏は、「オープンイノベーションの集中化と、調査、パートナーシップ、プロセス、そしてベストプラクティスのクラウドソーシングが、当社の様々なチームに多大な価値をもたらしていることに気付きました」と述べています。「当社のビジネスリーダーには、優先事項、成果、およびリソースのバランスをうまく取ることが常に求められます。企業内外の専門家リソースへのアクセスを提供することで、彼らの開発プロセスの加速化を支援しています」
リアルタイム・システムが違いを生み出します
オンデマンドで専門家にアクセスできるエコシステムと有意で持続的な関係を構築することが肝要です。GE社では、ビジネス部門が新しい市場やビジネスモデルを検討する時、内外の専門家リソースを活用するのが常となっています。信頼できる専門家コミュニティの存在のお陰で、各チームはより多数のオプションを持つことができ、また、より速いスピードと自信を持って事業を推進することができます。
「当社が関与するマーケットは前例のないスピードで進化しています。当社は、世界中の適切なプロフェッショナルとの効率的な「つながり」を通して、当社の学びの加速化とクライアントサービス力の向上を支援してくれるパートナーを高く評価しています。」
Finkhousen氏は、企業のラーニング・システムとして、広範でリアルタイムな専門家アクセスの実装が必要だと考えています。このアプローチにより、GEチームは自社の文化と業績および価値提供を進化・改善し続けることができます。
事前の準備が不可欠です
Finkhousen氏は、対話やコラボレーション、そしてクラウドソーシングから最大の成果を引き出すためには、目標とする成果の明確化に時間をかけることの重要性を指摘しています。何がゴールなのかを明瞭にし、成功がどのようなものかについて明確な期待値を設定することが大事なようです。
Finkhousen氏はまた、「成功がどのようなものかを定義できれば、そこから逆に、クラウドソーシングという膨大なネットワークを通じて、正しいアプローチを設計できるのです」と述べています。「目標の設定とギャップを認識した上で、結果の最適化に最も適した専門家に協力をお願いするのです」
自身の知らないことを知ることが大切です
Finkhousen氏は、チームに対して、より良い情報とより深いインサイトにアクセスできた場合、結果がどのように改善し得るかを評価しながら、可能なリソースの投入を決定していくよう促しています。これを念頭に置くことで、チームはいかなる状況でもオープンな姿勢を保てています。Finkhousen氏のチームは、GE社全体がオープンな状況でいられるように啓蒙しています。
「社外プロフェッショナルからの学びについて、自身が持つ深い専門知識がその可能性を邪魔する場合があります。チームによっては、社外プロフェッショナルから学びを行う際にも、業界のやり方や前提条件を持ち込んでしまう場合があり、意図せず自らが学べる範囲を限定してしまうことになります。こういったアプローチは、チーム内で仕事をする場合や、革新的ソリューションを必要としないプロジェクトにおいては非常に効率良い手段ですが、他業界のエキスパートとコラボレーションする場合、取得できるインサイトを制限してしまうことがあります」とFinkhousen氏は語ります。「当社では、学びの目的を、市場の境界を意識せず外部プロフェッショナルと「つながる」ことと再定義し、成果の改善に取り組んでいます」
John DonoghueはGLGのコーポレートチームの責任者です。GEのオープンイノベーションやクラウドソーシングについての詳しい情報は、GLG Leading Learners上の、Dyan Finkhousenをご覧ください。