東南アジアはeコマース革命の真っ只中にあります。これは、中国のインターネット企業による過去最大規模の海外買収案件である、Alibaba社によるLazada社買収を見ても明らかです。しかし、過去3年間のオンライン市場の急速な成長にもかかわらず、プレーヤーの混在と市場の分断の中で、消費者の支持を受けて独占的地位を築けている者がいない状況です。
今月GLGは、eBay社のRegional DirectorとしてMobile Asia-Pacificの責任者だったClaude Donato氏をお招きし、当地域の成長に関して今後の展望をお聞きしました。ポイントは以下の通りです。
- この地域のビジネスチャンスは勢いがつき始めたばかりです。Donato氏は、東南アジアよりはるかに多くのリテール取引が韓国と中国においてオンラインベースだという事実が、その証拠だと主張しています。東南アジアでは、eコマースは過去5年間、非常に小さな割合でしかありません。
- バーティカル市場事業者は、世界的な企業が従来独占してきた分野で市場シェアを拡大しています。
- Donato氏の考えでは、今後18か月間で多くの新参者が撤退するとのことです。また、米国の市場がAmazonとeBayにより、また、中国の市場がAlibabaとJD.comにより独占されているように、eコマース市場は最終的に2~3の主要な地域プレーヤーが独占しながら進化するであろう、ということです。
- 2019年までに、いくつかの健全なeコマース企業のIPOが行われるだろうと予想でき、少なくとも一つグローバルプレーヤーが事業を開始/再開するであろうと予測しています。
Donato氏はこの成長によりもたらされる、まだ手付かずの機会がどのような種類のものかについて、以下のような見解を提供してくれました。
- 最初に、eコマース事業促進のために必要なインフラはeコマース市場と共に成長していきます(特にロジスティクス業界)。
- 地方の事業者が交渉力を得て、規模を追求する中で、戦略的な提携や統合が増えるだろうと予想します。
- eコマースモデルを伝統的ビジネスに組み入れることで、新しい購買パターンが生まれ、モバイル決済とFinTech プラットフォームの大幅な増加が見られるでしょう。
Donato氏は、eコマースのスタートアップ企業が、そのような生まれたばかりの市場でどのように成功できるかについても、以下のように推測しています。
- 成長がすべてです。若いeコマース企業にとっての優先事項は、急速な成長にあるはずで、オペレーションや資金調達へのフォーカスではありません。
- 分散化された市場では、ビジネスの統廃合がより多く起こるでしょう。事業会社は競合企業との戦略的な提携を検討すべきです。
- 地域内のより大きな国、たとえばインドネシアでは、バーティカル市場に重点を置き続けるべきでしょう。小さな国では反対のことが言えます。
本イベントでは、東南アジアでのeコマースの機会に対して楽観的な見方が披露されました。最後に、Donato氏は、最近の規制の進展により、この産業への期待が更に高まっていることを指摘しました。ビジネス環境の改善とイノベーションにより、東南アジアにおいて、eコマース関連の巨大企業が生まれる可能性が高まっています。
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